2023/05/18

漆塗りの工程 その3(サビ付け)

 「布着せ」の次の工程が,「サビ付け」です。



椀木地の底に,麻布を貼り付ける「布着せ」をして,休ませていた椀木地を準備して・・・。



「砥粉」と「地粉」を「奥安芸漆」と混ぜて,「サビ」と呼ばれる,やわらかい粘土状の漆を作ります。

(砥粉も地粉も,簡単に言うと「土」です。)



この「サビ漆」を麻布に塗り付けて,麻布を見えなくしてしまいます。

これが,「サビ付け」の工程になります。



この「サビ付け」なのですが・・・1回では終わりません!?

「漆ムロ」の中で,数日かけて乾燥させてから,「砥石」に水をつけながら「サビ」をといで,表面を滑らかにします。

そして,水分をとばす為に乾燥させて・・・また,「サビ付け」。

「サビ付け」,「水とぎ」を何度も繰り返しながら,麻布を見えなくします。

見えない部分ですが,この工程が,いちばん時間がかかります。

この工程を省略してお椀を制作すれば,もっと早く,たくさん作れます。

しかし,作者は「必要だ」と言い張って!?・・・見えない部分に手間と時間をかけています。