2022/10/27

お椀の木地を仕上げています。

 工房では,木工ろくろで「お椀の木地」を挽いています。


まずは,木地小屋から「中ぐり」の工程が終わって,乾燥させていた「お椀用の木地」を取りに行きます。



仕上げる事の出来る「椀木地」の在庫も,残りが少なくなりました。

今年の冬に,「原木のトチ」を入手して,荒ぐりを制作する事が出来なければ・・・お椀の制作が出来なくなります。

「どんどん作って,どんどん売れば良いのに!」と,言われるのですが・・・。

「制作に必要な素材が入手出来ない」のが,現状です。


工房は,山の中で,まわりには,木は,いくらでもあります。

しかし,トチやケヤキなどの広葉樹が伐採されてチップになり,かわりにスギやヒノキなどの針葉樹が植栽される林業が推奨されている現状では,トチやケヤキを使用する物作りは・・・衰退するのが自然な事だと感じています。



さて,そんな感じで「お椀用の木地」を運んで・・・。



木工ろくろで,お椀の木地を仕上げています。




今回は,「古いお椀のうつし」を制作しています。

まずは,外側を挽いて仕上げてから,内側を挽いて仕上げます。


漆塗りの作業は,「手板」にのせて行います。

その「手板」にあわせて・・・。

椀木地を4個ずつ仕上げています。


2022/10/26

お椀の修理について。

 僕が制作した「お椀」を,僕が作ったとは知らないで・・・子供たちは日常で使用しています。

その「お椀」を洗っていると,けっこう傷んでいる事に気が付きました。



子供が7年ほど,毎日使用しているお椀です。

よく見ると,小口が欠けていたり,底にヒビが確認出来ます。




こうなった場合,僕は,汁椀としての使用をやめて,「器」として別の用途に使用しています。

「何度も塗り直して,使い続ける!」って事をしていないのが現状です。

そして,最終的には「土に返します」。



工房のお椀の修理について


僕が制作した「お椀」については,基本的に「無料」で修理をさせて頂いていました。

事前にご連絡を頂いてから,送料を負担して頂き,工房へ郵送してもらうと,約1年程度で塗り直して,僕が送料を負担して,送り返していました。

しかし,現在,この「無料修理」を以前と同じように行うことが出来ません。


当時は,「岩手県産の漆」を使用していましたが,現在は「少量の広島県産漆」を使用している為,塗り直すと「まったく別物」になってしまいます。

そして,直しても,新品よりも強度は落ちてしまいますし,修理の為に約2年程度,お預かりする事となりますので・・・修理は,お勧めしていません。

そんな説明をさせて頂いて,「それでも,どうしても,直して使い続けたい!」と,言われる場合は,「広島県産の漆」で「無料修理」をさせて頂いています。



1個のお椀を直して使い続けたい場合


工房のお椀を気に入って頂いて,直してでも同じ物を使い続けたい場合は・・・。

「擦り傷」や「へこみ」などは,「味が出てきた!」と思って使用を続けて下さい。

しかし,「下地が見えるキズ」などの場合は,きれいに洗って乾かしてから,修理のご相談をして下さい。

キズが大きくなって,下地の木地まで傷んでしまうと,漆を塗り直しても,その部分から漆が剝がれてしまう事があります。



工房のお椀を,毎日使用したい場合


僕が制作した「お椀」を日常で使用されているお客様の場合は,傷んだお椀を「割引券」として「新品のお椀」を購入して頂けるサービスをしています。

お椀を修理に出してしまうと,直るまでの間,お椀が無くなってしまいます。

また,新品よりも手間がかかる修理は工房への大きな負担になる為,はっきり言って作者は修理をするのを嫌がっています。

そこで,「古くなったお椀」を奥安芸の漆館へお持ち頂きますと,そちらと引き換えに「新品のお椀を半額」で,販売させて頂いています。

同じお椀がない場合もありますので,「半額クーポン」みたいな感じです。

作者としても,「どこが,どのように傷むのか?」が分かる貴重な資料になりますので,こちらをお勧めしています。



お椀の「無料修理」と「半額クーポン」サービスは,工房が倒産するまでの限定サービスです。

現在,コロナの影響をもろに受けて,工房の制作サイクルが停止しています。

少しずつ,工房を再稼働させようと奮闘をしてはいますが・・・。

工房が潰れてしまった場合は,サービスも終了となります。


2022/10/21

今年の漆。

 久々にブログを更新してみました。

(作者は元気を失っていました・・・。)


今年,採取した「うるし」は・・・。



どんぶりの中で,「暴れています!?」

ウルシの木から採取した「うるし」は,しばらくは発酵?しながら,ガスを発生させて,蓋をしていても,持ち上げてしまいます!?
この,発酵と言うのか?熟成?と言うのか?・・・ガスの発生が収まるまで使用が出来ません。

蓋を開けると・・・。



表面が,ガビガビ!?に固まっています。
しかし,ヘラですくい取ると・・・。


「うるし」が姿をあらわします。
この「うるし」は,まだ,漆掻きの作業中に「ウルシの木屑」などが混ざっている状態で,「荒味」と呼ばれる状態です。

この「荒味」を「和紙」で包んで,絞ると・・・。



「荒味」の中の,ゴミや木屑が取り除かれて,「生漆」と呼ばれる状態になります。
これで,やっと,一般的に「うるし」と呼ばれている物が,完成です。