2022/03/22

戸河内挽物に使用する刃物作りの様子です。

 久々に、鍛冶屋をして刃物作りをしています。



「小カンナ」と呼んでいる刃物を作っています。



以前は、冬の風が吹かない雪の日に、鍛冶屋をして刃物を打っていました。

しかし最近は、刃物が折れた時に鍛冶屋をしています。


久々に送風機にスイッチを入れると・・・動きません!?



メンテナンスをすると・・・。

「キィィ~~!?」と、甲高い悲鳴を上げながら動いていました。

送風機は、瀕死の状態です!?


本当は、「ふいご」を使いたいのですが・・・。



「ふいご」は、修理中です。

「ふいご」の中に「タヌキの毛皮」が貼ってあるのですが・・・それが朽ちています。

しかし、「タヌキの毛皮の張替え」を、なかなかヤル気になれません。


「送風機」だと、風量が強すぎて使い難い為、やさしい風の「ふいご」が必要です。

「ふいご」の修理は・・・そのうちって事で!?



火床に「炭」を入れて、火を付けます。
瀕死の送風機で風を送ると・・・すぐに炭がいこります。

「炭」だけでも良いのですが、もう少し火力を上げたい時には・・・。


「炭」の上から、「コークス」を投入します。
すると、炎は眩しく光り、鉄はドロドロに溶けるくらいの高温になります。


そこに、刃物を入れて・・・色を見ます。
「夕日のような赤」になった時に、金床の上で叩いて形を作ります。
その時間は、約2秒。
作業をしながらだと、上手く写真を撮影する事が出来ませんでした。


刃物の形が出来たら、ゆっくりと冷やします。
「なまし」と呼んでいる工程で、これで「ヤスリ」がかけられる状態になります。
鋼を「なまし」て、ヤスリで形を整えてから、「焼き入れ」をすると「刃物」になります。


2022/03/15

戸河内挽物の木工ろくろ体験講座は、現在、行われておりません。

 先日、「木工ろくろに興味があります」と、言われる方の来店がありました。

「木工ろくろをやってみたい!」って感じのお問い合わせは、時々あります。

特に3月頃は、「伝統工芸の後継者の募集はありますか?」と、学生さんらしい方からのお問い合わせがあります。


募集されることは、あまりないと思いますが・・・。

僕は、行政が行っていた「後継者の募集」で、「広島県指定伝統的工芸品の製作者」になりました。

参考になるか?分かりませんが、少し書いておきます。


今から、約20年前・・・。

広島県の安芸太田町(旧戸河内町)で、後継者育成事業として、「戸河内挽物の体験講座」が、3日間行われました。

1日目には、約20人くらいの参加者の方が来ていたと思いますが・・・。

2日目には、5人程度になり・・・。

3日目には、3人程度になっていました。

後継者育成事業は、この3日間で終了しました。

その後、旧戸河内町で挽物を続けていたのは、僕だけだった為、「戸河内挽物の製作者」になっています。

基本的には、「興味」があれば、出来るのかな?と、思います。


その後、後継者育成事業で用意されていた「木工ろくろ5台と道具」を利用して、「木工ろくろ体験講座」を、町内の施設で毎週日曜日に行っていました。

しかし、町内の施設を借りてまで維持し続けられるほどの人気はなくて・・・数年で終わりました。

当時の「木工ろくろ5台と道具」は、町の所有物として施設内で永い眠りについています。

こんな感じで、「戸河内挽物の木工ろくろ体験講座」は、現在、行われておりません。

当時の道具も・・・どうなったのか?知りませんが、たぶん使い物にはならないでしょう。



話が少し変わりますが・・・。

木工ろくろに興味がある方から、「木材の自然乾燥の方法は?」と、質問がありました。


・・・こんな感じです。


戸河内挽物は、原木の状態の「生木」をチェンソーで切って、木工ろくろで仕上げる作品に近い状態に挽いてしまいます。

これを「荒ぐり」と呼び、ビチャビチャの荒ぐりを「サンギ」の上に置いて、自然乾燥させています。

「雨にあたらない」、「直射日光にあたらない」、状態で2年程度、置いておきます。

とくに「乾燥室」と呼べる場所はなく、空いてるスペースに、風が抜ける空間を取りながら置いてあります。



僕の工房には、特別な秘伝も技術もありません。

気になることがありましたら、お気軽にメールか電話でお問い合わせ下さい。


2022/03/13

奥安芸の漆館に作品を追加しました。

 奥安芸の漆館は、お問い合わせがあった時に開店しています。

普段は、山の木地師小屋で木工ろくろを回していますので、電話があると奥安芸の漆館へ移動しています。


奥安芸の漆館の2階の漆塗り部屋の扉も・・・。




換気の為に、開けています。


奥安芸の漆館の店内には、新作が追加出来ていない為・・・。

少しですが、「サービス品」を出しています。



「サービス品」は、展示品に貸し出した物や、制作途中で作者がサインをしていなかった物等です。

価格は、通常の30%程度になっていますので、「試しに使ってみようかな?」って方に、お勧めです!


作者が、お勧めする「サービス品」は・・・。



「サクラの荒挽椀」と「ケヤキの大椀」です。

どちらも、国産の木と国産漆だけで仕上げた、大きめのお椀です。


それと・・・。



「奥安芸漆の子供椀」です。

これは、僕が工房で育てているウルシの木から漆を採取して、地元のトチの木を木地にした子供用のお椀です。

工房では、2年前に、「地元の技術、地元の木、地元の漆」で作ったお椀を完成させていました。

しかし・・・。

その「お椀」のお披露目や宣伝をする機会もなく・・・普通のお椀として「完売!」してしまいました。

その時、サインをしていなかった物が、2個ほど残っていたので、「サービス品」としました。

「広島県産の漆を100%使用した漆器」は、たぶん珍しいと思いますよ!


この「サービス品」は、奥安芸の漆館の店頭限定販売です。


2022/03/10

戸河内挽物の木工ろくろの刃物が折れてしまいました。

 お椀の木地の中ぐりも、あと少し。

これを仕上げたら、次は「すし鉢」を仕上げよう!

そんな事を考えながら、木工ろくろを回していると・・・。

「ピッ!?」と、小さな音が聞こえた気がしました。


・・・やっぱり、刃物が折れていました。




・・・がっくり。


工房で使用する木工ろくろの刃物は、すべて自分で鍛冶屋をして作ります。

僕の作る刃物の特徴は、「極薄」です。

薄いのだけども、芯まで焼きが入らないようにして、「ねばり」を残す焼き入れに、こだわっています。

「表面はカリッと!」「中はしっとり!!」って感じを目指しています。


この刃物は、作っても、すぐには切れません。

20%程度、研ぎながら使用していると、少しずつ切れ味が上がり・・・。

50%程度、研いで小さくなってきた頃が、一番切れます!

そろそろ、仕上げ用にと思っていたところ・・・折れました。

斬鉄剣が折れた時くらい?がっかりです。


まだまだ、修業が足りません。


2022/03/03

戸河内挽物の木工ろくろで、木地の内側を挽く時の取り付け方

 工房では、木工ろくろに木地を取り付けるときに「釘」が付いている保持具が、ときどき登場します。

「釘じゃない方は、どうやって付いてるの?」と、聞かれることがあります。

そんな「釘の保持具」の次の工程です。


今回の木地には、真ん中に穴がありますが、通常は真ん中の穴が無い状態です。

「釘」に打ち付けて、お椀の外側をおおまかに挽いた木地には、「釘のあと」があります。



お椀の場合は、内側を挽いたら「釘のあと」は、なくなります。


後ろを見ると・・・。


お椀の高台のサイズにあわせて「穴」があいている「保持具」を作ります。
そして、ここにグイッと押し込んで、木地の内側を挽いています。


あとは、軽く「コンッ」と叩くと、木地は「ポロッ」と外れます。


お盆やこね鉢などの大きな物でも、作り方は同じです。

「グッ」と押えたら、木工ろくろに木地が取り付いて、軽く「コンッ」と叩くと外れる。

そんな「保持具」と木地をピッタリあわせるのが、挽物の特徴です。


2022/03/02

戸河内挽物のお椀の木地の中ぐりをしています。

 暖かくなり始めた工房では、お椀の木地の「中ぐり」をしています。


「荒ぐり」の状態で、自然乾燥させていた木地は、乾燥しながら「歪み」が発生します。

この「歪み」の部分を木工ろくろで挽いて、「歪みのない荒ぐり」にする作業が「中ぐり」です。



この作業を見ていても、「荒ぐり」と「中ぐり」の違いが分からないと思います。
「まだ、木が動きたがっているので、仕上げは出来ません」
・・・なんて事を言ってしまうと、
「さっさと仕上げろ!?」と、言われてしまいます。


前回の原木からの木取りでは、「200個は、取れるかな?」と、思いましたが・・・。
約60個しか、お椀の木地が取れませんでした。
制作に必要な「トチの木」が、入手困難な為、「出来るときに、出来るだけ」しか作る事が出来ません。

今は、木工ろくろを「お椀用」にセットしている為、この作業が終わるまでは、「お椀」の木地を挽いています。