2023/06/27

漆掻き(2辺目)

 漆掻きの作業予定を考えながら,天気予報を見てみると・・・ずっと雨!?

雨が降る前に,漆掻きへ行きました。



ウルシの木の下には,また,草が生えています。



今日は,「2本目のキズ」をつけました。

ウルシの木に「キズ」をつける作業を「辺付け」と呼びますので,今日は「2辺目」です。



キズをつけると・・・「ジワァ~」と,「白っぽい漆」が出てきます。

今日は,かるぅ~く漆を採取。



ウルシの木から出てくる「漆」は,「白っぽい」のですが,空気に触れると,「茶色っぽく」変化します。

「なるべく漆を動かさないように,素早く」漆をすくって集めます。


次回からは,本格的に漆の採取がはじまりますが・・・天気次第ですので,いつになるのか?分かりません!?

「3辺目」よりも,「草刈り」が先でしょうか?


2023/06/23

今年の「漆掻き」が始まりました。

 広島県の安芸太田町では,今年も・・・。

「広島県指定伝統的工芸品 戸河内挽物」の制作に必要な「奥安芸漆」の生産が始まりました。



これが,「漆掻き」に必要な道具です。

この道具は・・・。
工房を始めた頃,日本中を「漆とは何か?」と,旅をしていた僕に・・・。
「本物の漆を教えてやるから,山について来い!」と言って,漆掻きに同行させてくれた「おじいさん」が,僕が広島へ帰る時に・・・。
「必要な時が来たら,これをそのまま使い続けろ。道具が教えてくれる。」って,僕の為に仕込んでくれた道具を持たせてくれました。
そして・・・。
「毎年,最高の漆を送る。その漆から学べ。」と,言って・・・。
本当に,毎年,漆が届いていました!?
しかし,「最高の漆」は,東日本大震災の年で・・・届かなくなりました。


そんな「道具」を持って,ウルシ植栽地へ。


「最初のキズ」をつける「辺付け」です。


「ウルシの木」に,キズをつけると・・・。
ジワァ~と,「透明な汁」がにじみ出てきますが・・・まだ,採取はしません。
この状態では,まだ「漆」ではなくて,「かぶれる汁?」の状態です。
今日は,ウルシの木への「ごあいさつ」です。

ウルシの木は,「キズ」をつけられると,キズを治すために,「漆」を作り,傷口をふさごうとします。
約5日後に,「すこし大きいキズ」をつけると,ウルシの木は,「少し多い漆」を作り,傷口をふさごうとします。

ウルシの木は,「約5日」で「漆」を作るので,「約5日ごとに,すこし大きいキズ」をつけて,「漆を育てます」。

欲を出して?「いきなり大きなキズ」をつけてしまうと・・・ウルシの木は死んでしまいます!?

ウルシの声を聞きながら,「最高の漆」を目指します!

2023/06/22

漆塗りの工程 その4(下塗り)

 お椀の中の「下地」が仕上がった椀木地を,「奥安芸の漆館」の「漆塗り部屋」へ。

(漆塗り部屋は,ガラス張りで,作業が見学できますよ!)



漆塗りを行うときは,「箱定盤」を使用します。

この箱の中に「漆刷毛」などの「漆塗りに必要な道具」が入っており,箱の上は漆を練ったりする「作業台」に,なります。

「箱定盤」があれば,どこでも漆塗り作業が出来ます!

(この箱定盤は,初代の方から受け継がれている,ふる~い物です。)



椀木地を「手板」に,のせて・・・。




椀木地の「外側」に「奥安芸漆」を「漆刷毛」で塗ります。

そして,「漆ムロ」の中で,約3日間程度,漆の硬化を待ちます。



漆が固まって,椀木地に触られるようになったら,「内側」に「奥安芸漆」を塗って・・・。

また,約3日間かけて,漆を固めます。


全体に漆が塗れたら,「水とぎ」をしてから,また「漆塗り」です。

1回塗るのに1週間かかりますが,これを数回繰り返して,「下塗り」になります。


「もう,このまま完成にして,お椀を販売してください!」と,言われる事がありますが・・・。

作者の「自己満足な物作り?」は,まだまだ続きます!?




 おまけ


この後・・・。

「木地を挽こうかなぁ~。」と,木地小屋に入ろうとすると・・・。


「うぉ~!?びっくりしたぁ~~!?」


大きな「モリアオガエル」が目の前に・・・ご来店されていました。



森へ,送迎中・・・。


2023/06/19

漆掻きを行うウルシの木を選んできました。

 今年の「漆掻き」を行う「ウルシの木」を選びに,ウルシ植栽地へ行きました。



今年は,「23本」のウルシの木に「ピンクのテープ」を付けました。

次回から,最初にキズをつける「辺付け」の作業です。


ウルシの木を見ていると・・・。



「大きな毛虫」が歩いていました!?

漆掻きの時期になると「毛虫」が大量発生します。

「毛虫」は,ウルシの葉を食べてしまい・・・漆が出難くなります。

その為,漆の産地では「農薬散布」で「毛虫の駆除」を行いますが・・・。

僕は,農薬は使用しません。

「奥安芸漆」は,無農薬栽培?です。


2023/06/16

水とぎ

 漆塗りの作業の前には・・・。



砥石に水を付けながら,お椀の表面の漆を「水とぎ」します。


「漆塗り」って聞くと,「漆を漆刷毛で塗っている?」イメージだと思いますが・・・。

実際には,ほとんどの時間が「水とぎ」です。

この「水とぎ」の作業を見られる場面が多い為か?

「戸河内挽物は,何焼き?ですか??」と,まじめに聞かれる事があります!?

(僕が,陶芸家だと思われるみたいです。)


漆塗りのお椀は,「漆塗り」と「水とぎ」を,なんども繰り返す事で,丈夫でなめらかな「お椀」になります。


2023/06/09

漆掻きを体験してみたいですか?

 ウルシ植栽地に通う事,数日・・・。



やっと,下草刈りが終わりました!


ふぅ~う。疲れたぁ~。

草刈り機を担いで,歩いて帰り始めると・・・。




さっそく,森から可愛い動物さんがやってきて,ウルシの木を「ムシャムシャ!?」。


この「かわいい動物さん!?」の影響で・・・。




ウルシの木は,ボロボロです!?

新芽が出ると,食べられるし・・・。

ウルシの木も,傷だらけにするし・・・。

非常に困っていますが,見た目のかわいらしさに騙されて?・・・仲良く?共存しています。



 話が変わりますが・・・。

「漆掻き」に興味がある一般の方はいませんか?


工房では,2005年頃からウルシを育てています。

「ウルシの苗作り」からはじめて,「ウルシ植栽地」を作り,「漆掻き」が出来るまでになりました。

今年も,これから「漆掻き」を始めようと思うのですが・・・。

「漆掻きをしてみたい!」って方がいれば,体験してもらえば良いかな?と,考えています。


僕は,脱サラして漆器作りをしている作者ですので,漆業界や大学の芸術学部の出身ではありません。

その関係の方だと,「漆掻き」の見学に行ったり,体験する事も出来るのですが,一般の方だと,そうした機会も無いと思います。

実際,僕が「ウルシの育て方」や「漆掻き」を知ろうとした時,非常に苦労しました。

自分が,非常に困った体験から,「漆掻き」をオープンにしておこうと思います。


これから,ウルシの木にキズを付け始めます。

「1本目のキズ」を付けて,約5日後,「2本目のキズ」を付けます。

この時には,漆を採取しません。

その,約5日後に,「3本目のキズ」を付けます。

この頃から,漆の採取を始めます。

「3本目のキズ」以降から,興味のある一般の方に,「漆掻き」を体験して貰っても良いかな?と,考えています。

興味がある方は,工房にお問い合わせ下さい。


2023/06/05

漆掻きの準備をしています。(下草刈り)

 ウルシ植栽地までの「道打ち」(草刈り)が終わり,「下草刈り」の作業をはじめています。



草が生い茂るウルシの植栽地へ,草刈り機を装備して・・・突撃!



「漆掻き」の作業が出来るように,ウルシの木の下の草を刈っています。


・・・数時間後。



ふぅ~う。今日は,ここまで。

あと,数日,通って・・・下草刈りが続きます。



話が変わりますが・・・。

よく見ると,「ピンクのテープ」が付いているウルシの木があります。



この「ピンクのテープ」は,昨年,「漆掻きを行うウルシの木」に付けていた「目印」です。

昨年は,豪雨と道路の通行止めの影響で,漆掻きの作業が数回しか出来ませんでした。


今年は・・・。

梅雨入りまでに,「下草刈り」を終えて,「辺付け」(漆掻きの仕事始め)を予定していましたが・・・思ったよりも早い梅雨入りでした。

梅雨の晴れ間に下草を刈って,梅雨明けには・・・「辺付け」が出来れば良いなぁ~と考えています。