2023/06/23

今年の「漆掻き」が始まりました。

 広島県の安芸太田町では,今年も・・・。

「広島県指定伝統的工芸品 戸河内挽物」の制作に必要な「奥安芸漆」の生産が始まりました。



これが,「漆掻き」に必要な道具です。

この道具は・・・。
工房を始めた頃,日本中を「漆とは何か?」と,旅をしていた僕に・・・。
「本物の漆を教えてやるから,山について来い!」と言って,漆掻きに同行させてくれた「おじいさん」が,僕が広島へ帰る時に・・・。
「必要な時が来たら,これをそのまま使い続けろ。道具が教えてくれる。」って,僕の為に仕込んでくれた道具を持たせてくれました。
そして・・・。
「毎年,最高の漆を送る。その漆から学べ。」と,言って・・・。
本当に,毎年,漆が届いていました!?
しかし,「最高の漆」は,東日本大震災の年で・・・届かなくなりました。


そんな「道具」を持って,ウルシ植栽地へ。


「最初のキズ」をつける「辺付け」です。


「ウルシの木」に,キズをつけると・・・。
ジワァ~と,「透明な汁」がにじみ出てきますが・・・まだ,採取はしません。
この状態では,まだ「漆」ではなくて,「かぶれる汁?」の状態です。
今日は,ウルシの木への「ごあいさつ」です。

ウルシの木は,「キズ」をつけられると,キズを治すために,「漆」を作り,傷口をふさごうとします。
約5日後に,「すこし大きいキズ」をつけると,ウルシの木は,「少し多い漆」を作り,傷口をふさごうとします。

ウルシの木は,「約5日」で「漆」を作るので,「約5日ごとに,すこし大きいキズ」をつけて,「漆を育てます」。

欲を出して?「いきなり大きなキズ」をつけてしまうと・・・ウルシの木は死んでしまいます!?

ウルシの声を聞きながら,「最高の漆」を目指します!