僕が制作した「お椀」を,僕が作ったとは知らないで・・・子供たちは日常で使用しています。
その「お椀」を洗っていると,けっこう傷んでいる事に気が付きました。
子供が7年ほど,毎日使用しているお椀です。
よく見ると,小口が欠けていたり,底にヒビが確認出来ます。
こうなった場合,僕は,汁椀としての使用をやめて,「器」として別の用途に使用しています。
「何度も塗り直して,使い続ける!」って事をしていないのが現状です。
そして,最終的には「土に返します」。
工房のお椀の修理について
僕が制作した「お椀」については,基本的に「無料」で修理をさせて頂いていました。
事前にご連絡を頂いてから,送料を負担して頂き,工房へ郵送してもらうと,約1年程度で塗り直して,僕が送料を負担して,送り返していました。
しかし,現在,この「無料修理」を以前と同じように行うことが出来ません。
当時は,「岩手県産の漆」を使用していましたが,現在は「少量の広島県産漆」を使用している為,塗り直すと「まったく別物」になってしまいます。
そして,直しても,新品よりも強度は落ちてしまいますし,修理の為に約2年程度,お預かりする事となりますので・・・修理は,お勧めしていません。
そんな説明をさせて頂いて,「それでも,どうしても,直して使い続けたい!」と,言われる場合は,「広島県産の漆」で「無料修理」をさせて頂いています。
1個のお椀を直して使い続けたい場合
工房のお椀を気に入って頂いて,直してでも同じ物を使い続けたい場合は・・・。
「擦り傷」や「へこみ」などは,「味が出てきた!」と思って使用を続けて下さい。
しかし,「下地が見えるキズ」などの場合は,きれいに洗って乾かしてから,修理のご相談をして下さい。
キズが大きくなって,下地の木地まで傷んでしまうと,漆を塗り直しても,その部分から漆が剝がれてしまう事があります。
工房のお椀を,毎日使用したい場合
僕が制作した「お椀」を日常で使用されているお客様の場合は,傷んだお椀を「割引券」として「新品のお椀」を購入して頂けるサービスをしています。
お椀を修理に出してしまうと,直るまでの間,お椀が無くなってしまいます。
また,新品よりも手間がかかる修理は工房への大きな負担になる為,はっきり言って作者は修理をするのを嫌がっています。
そこで,「古くなったお椀」を奥安芸の漆館へお持ち頂きますと,そちらと引き換えに「新品のお椀を半額」で,販売させて頂いています。
同じお椀がない場合もありますので,「半額クーポン」みたいな感じです。
作者としても,「どこが,どのように傷むのか?」が分かる貴重な資料になりますので,こちらをお勧めしています。
お椀の「無料修理」と「半額クーポン」サービスは,工房が倒産するまでの限定サービスです。
現在,コロナの影響をもろに受けて,工房の制作サイクルが停止しています。
少しずつ,工房を再稼働させようと奮闘をしてはいますが・・・。
工房が潰れてしまった場合は,サービスも終了となります。