工房の「お椀」をご希望のお客様には,大変,長年お待ち頂いています。
たいへん申し訳ございません。
以前は,岩手県産の漆を使用して「お椀」を制作していましたが,作者が自分で採取した「奥安芸漆」だけしか使用しなくなった為,年間の生産個数が数十個になっている為です。
「奥安芸漆」に拘らずに,「国産漆」で良いことにすれば済むのですが・・・。
「自己満足の趣味」なのかも知れませんが,それでも「奥安芸漆だけを使用したお椀」を作ります。
あまりに生産個数が少ない為,購入を希望される方のお手元に届く事が無いかも知れないと思うと心苦しいのですが・・・。
その「お椀の制作の様子」を書いておこうと思います。
「木地固め」
お椀の木地を木工ろくろで仕上げたら,奥安芸漆をたっぷりと染み込ませて木地を漆で固めます。
この工程が「木地固め」です。
この漆は,2017年に採取した「奥安芸漆」です。
ウルシの木から採取して常温で保存していた漆を「和紙」で包んで絞ります。
こうして,漆の中の「ゴミや木屑」を取り除きます。
漆を絞っていると・・・「あまい香り」がしています。
なんと言えば良いのか?難しいのですが・・・。
遠くで咲いているキンモクセイの香り?みたいな感じです。
「椀木地」は,手板に「4個」乗るので,とりあえず・・・8個。
椀木地に,たっぷりと「奥安芸漆」を染み込ませます。
そして,もったいない感じもしますが,和紙で拭き取ります。
そして,「漆ムロ」に入れて,約3日程度,待ちます。
「漆ムロ」は,木製の押し入れみたいな箱で,中を水で湿らせてあり,湿度が高くなっています。
漆は,「温度と湿度」が,一定以上になると,液体から個体へ「変化」して「硬化」します。
漆の機嫌を損ねる?と,「乾かない漆」になってしまう為,「漆のお風呂」(漆ムロ)のお湯加減?には,非常に気を使います。
この後,漆が固まったら,もう一度「木地固め」をして・・・一休み。
それから次の工程の「布着せ」の工程に進みます。